人生は、驚きの連続だ。一年前の私は、これから始まる新しい日々への期待と不安に胸を膨らませファッション業界の門を叩いたというのに、今私はライターの仕事をしている。三か月前の私は数か月付き合っていた彼氏に別れを告げ、もう男は懲り懲りだと思っていたのに、今どうしても会いに行きたいと思う人がいる。

 すべては、直観だったような気がする。ファッションをやり始めたころは兎に角ついていくのに一生懸命だったけれど、ある程度自分の目標が達成され、私の人生にとって一番大切なものではないのだと気付いた。周りの人間にとってファッションは人生で一番大切なものだった。ただ私は、そうではなかった。日に日にファッションは苦痛になり、向き合うことが嫌になった。自分の精神が削り取られていくのがわかった。昼間電車に揺られ、車内に差し込む光を見つめているだけで幸せを感じて涙を零すほどに、追い詰められていたのだと思う。けれどそんな私を遠くから客観的に見ている私もいた。精神的苦悩も身体的苦痛も私の身代わりが感じていて、本当の私はずっとそばで苦しむ私を見つめていた。このままでは私は死んでしまう。直観だった。この道じゃない。直観で決めた。人生には数えきれないほどの選択肢がある。学生生活を送っていると視野が狭くなって、この道で成功できなければ人生終わり、と追い込まれがちだがまったくそんなことはない。今の道で失敗しても人生はゆるりゆるりと続いていくし、選べる道なんて山ほどある。

人生は本当にあっという間だけれど、日々を切り取っていくと果てしなくてどうしようもない気持ちになることがある。