2016-01-01から1年間の記事一覧

『不在が存在よりも濃い気配をつくる』 私は本を読むことが好きだ。本を読むと見える世界が広くなる。それまではただ通り過ぎていたが、本を読むことでいろいろなものが見えるようになる、気づくようになる。 ただ、時々言葉をうまく理解できない時がある。…

夢を見た。彼が、私の親友と付き合っているという夢だ。彼が記念日を忘れたのだと涙を流す彼女を慰めながら、彼がつけたのだろう、モノトーンのカレンダーに映える、記念日を囲う赤いハートマークを、私はじっと見つめた。嗚咽を漏らす彼女を胸に抱き締めな…

彼とは、運命だった。何度も別れ、何度でも恋に落ちた。少し長めの前髪から覗く奥二重の瞳や、薄くてやわらかい唇、見た目からは想像が出来ない高い声、わたしよりも少し大きい手足、どこを触ってもすべて筋肉なのかと思うほどに硬い身体、そして高い体温。…