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 夢を見た。彼が、私の親友と付き合っているという夢だ。彼が記念日を忘れたのだと涙を流す彼女を慰めながら、彼がつけたのだろう、モノトーンのカレンダーに映える、記念日を囲う赤いハートマークを、私はじっと見つめた。嗚咽を漏らす彼女を胸に抱き締めながら、言い知れぬ不安と寂しさで押し潰されそうだった。

 夢と現実の境目を彷徨いながら彼の名を呼んだ、何度も、何度も。電話を繋いだまま眠りに落ちてしまったらしく、私の「はるくん、はるくん」という嗚咽交じりの声を聞いて起きた彼が「どうしたのあやちゃん」と、まるで小さなこどもをあやす時のようなやさしい声で言った。わたしは、気を付けなくては、と思った。気を付けなくては、彼を好きになってしまう。わたしは知っている。男は好きだと嘘をつく。